シャープが液晶事業の売却

http://mainichi.jp/select/news/20150928k0000m020098000c.html
シャープが液晶事業を分社化して鴻海に売却することを検討している。これに対して、液晶の技術が流出する、外資に乗っ取られるという意見がネットでみられるが、通常の事業再生の手法としては当たり前のことというのが正直な感想である。

中小企業の再生でも、採算性のある事業を分社化してスポンサーの出資を受け、不採算部門を廃業するという手法はよく使われる。(今回は残った事業を清算する話まではまだないが、相当なリストラによる事業の再編は間違いないだろう。)
そもそも、上場している企業で株主が誰であるかに意味があるのであろうか?非上場であれば経営者が自分の経営権にこだわりることもあるが。(結果、再生を遅らすことになる。)

液晶事業は高い技術を持つにもかかわらず、赤字部門である。ほっておけばシャープの優れた技術はこの世から消えることになる。鴻海、アップルというスマホ事業にノウハウがある企業と組むことで液晶の事業を残し技術を生かすことができる当然の選択である。日本の家電業界は下請け構造のもと高コストの事業を行っていたが、鴻海は電子部品専業でどこかの下請けではなく、あらゆるメーカーの部品をつくることでコストを低下させ巨大企業になった。アップルはデザイン・企画といったスマホの上部構造だけを担うことで高付加価値企業となった。これらの企業には低迷している日本の家電業界にはないノウハウを持っているといえる。

外資あるかないかという経済性とは違うナショナリズムにこだわる人たちもいるが、これだけ経済のグローバリゼーションが進んでいるのに、まだそんなことを言っているのか!人間の意識にはナショナリズムがあり、むしろ昨今はそれが高まっている感もあるが、経済はとっくに国境を超えてしまっているし、国内の範囲にこだわることはナンセンスである。技術の囲い込みを言う人たちもいるが、日本が下請け構造を使って技術を囲い込むという手法を使ったためにシャープは敗れ去ったのである。もう、技術をオープンにして自社がプラットフォームになるというアップルの手法のほうが優れていたという結論が出てしまっている。

最後はナショナリズムよりも技術や事業を残すことである。

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