アクセス解析を確認したところ、最も多く検索されているキーワードが「工場での避難の仕方」「工場で地震が起きたら」でした。そこで、今回はこのテーマについて解説します。
1. 地震発生から避難までの流れ
地震が発生した場合は以下の手順で避難を行ってください。
①地震が発生したら、すぐに機械から離れ、可能であれ安全なスペースに退避する。
②揺れがおさまってから手順に応じて機械を止める。
➂リーダーは出口を確保する。
④工場の外に一次避難場所をもうけ避難経路に従って一次避難場所にうつる。
⑤津波の危険があれば高台や近所のビルなどに避難する。
(避難場所はあらかじめ設定しておく社屋が津波を避けるのに十分な高さを確保していれば社屋にとどまっても良い。)
⑥安全確認ができた後被災状況を確認し緊急対策本部に報告する。
⑦可能であれば社屋に戻る。
2. 地震発生時の初動対応
避難時の安全を確保するために、工場内の一時退避場所や安全スペースをあらかじめラインテープなどで明確に示しておき、その場所に退避することが大切です。
地震発生時には動きが取りづらくなるため、事前の準備が避難の成否を左右します。特に工場内では、キャスター付きの作業台が地震で動き回ったり、天井からクレーンが落下するなど、想定外のリスクがあります。オフィス内では机の下に隠れるといった対策ができますが、工場では同じようにはいきません。そのため、工場内の整理整頓(5Sの徹底)を行い、緊急時の退避スペースを確保しておくことが必要です。
3. 一時避難場所の設定とその後の避難行動
地震の際には、まず工場から安全な場所へ一時避難することが基本です。通常、広い駐車場などが一時避難場所として適していますが、避難経路が分かりやすく示されたマップがあるとより安心です。しかし、問題はその後の対応です。企業によっては、近隣の避難所に移動するという意見もありますが、ここで一つ留意が必要です。避難所は地域住民のためのものであり、企業として大量の人員で利用することは、地域住民のためのスペースを奪うことになりかねません。
また、避難所に届けられる食料を企業の従業員が消費することも、地域との信頼関係に影響を与える可能性があります。企業としては、地域住民をサポートする立場を意識し、社屋に戻ることが可能であれば、その判断をおすすめします。
4. 社屋へ戻る判断基準
では、社屋に戻るべきかどうか建築のプロではない製造業がどう判断すればいいでしょうか?判断材料の一つとして、内閣府が提供する「緊急時の建物利用可否チェックシート」を活用することができます。
内閣府チェックシートはこちら:https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/kinkyuutenken_shishin/index.html
さらに、自治体が発行している避難所運営マニュアルも参考になります。飯田市の避難所運営マニュアルなども具体例として役立つでしょう。
飯田市避難所運営マニュアル:https://www.city.iida.lg.jp/soshiki/35/hinanjo-unei-manual-20160401.html
5. 火災発生時の対応
会社周辺で火災が発生した場合、避難場所や社屋も危険にさらされる可能性があります。自治体によっては広域避難場所が設定されていることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。万が一、近隣の避難場所が使用できない場合のことも考え、安全な避難場所を他に確保しておくことも重要です。
このように、工場での避難は事前の準備と判断基準の明確化が重要です。備えあれば憂いなし。日頃から災害時に備え、従業員と地域住民双方の安全を第一に考える取り組みを進めていきましょう。