先日、9月7日に開催されたBCP(ビジネス継続計画)&リスクマネジメント研究会では、公的機関のBCPに関する多くの興味深い話題が取り上げられました。公的機関は、私たちの生活を支える重要な役割を果たしています。しかし、そのBCPに関する特有の問題点が浮き彫りとなりました。以下、研究会で議論された主要な点を挙げてみたいと思います。
公的機関のBCPの特性
公的機関は民間企業とは異なり、社会的な公共性を持つため、BCPの考え方やアプローチも異なる場合が多いです。また、予算の制約や法律、規則など、多くの制約が存在するため、柔軟な対応が難しいことも。
雇用の保障とBCPの目的の乖離
公的機関の従業員は、一般的に雇用が保障されているため、BCPの目的が「事業の継続」よりも緊急時にもかかわらず「社員の個人的事情」が重要視されて災害時の役割分担が決められないケースがあった。なぜ災害時に近いからというだけで会社に出勤する必要があるのかなどの議論があった。これは、BCPの根本的な目的と乖離してしまう場合があるという指摘で、非常に考えさせられるものでした。
顧客目線の欠如
公的機関は、顧客や市民との直接的な取引が少ないため、顧客目線でのBCPの作成が難しいという意見も出ました。取引先の信頼を確保するという本来のBCPの目的が通用しないという議論になった。
組合の影響力と緊急時の対応
公的機関には強力な組合が存在する場合が多く、緊急時の役割分担や意思決定において、組合との協議が必要となることが指摘されました。このため、迅速な対応が難しくなることがあるという課題が挙げられました。
総じて、公的機関のBCPは、実際の事業継続よりも監督官庁に対してBCPを作りましたというポーズが重要視されることもあり、実効性に乏しいものになってしまうことが一つの課題であった。