BCPを策定するうえで安否確認について検討することは避けては通れません。
今回は安否確認について解説したいと思います。
安否確認の留意点
BCPを策定するにあたって社内で決めなければいけないことがいくつかあります。それを示すと以下になります。
- どこで、どのような事態が起きた時に安否確認を行うか(例 国内で震度5弱以上の地震)。
- 誰が誰に対して(例 社員が所属部門の長に対して)
- どのような通信手段で(例 メール、災害伝言ダイヤル)。できれば複数の手段を確保したい。
- 何を確認、報告するか(自分の安全、家族の安全、出社可能か?会社の支援は必要か。)
安否確認を行うための通信手段について
安否確認は通常使い慣れた通信手段が望ましいです。携帯電話は災害時非常につながりにくくなるため、携帯メールを利用する方法がまず考えられます。従業員で携帯電話を持っていない場合には災害伝言ダイヤル171を利用する方法もあります。ただし、171は家庭用に作られているため最大で10件しか録音できません。災害伝言ダイヤルは災害が起きて電話などが繋がりにくくなった場合に利用可能になります。体験利用日として毎月1日と15日及び防災週間(8月30日9:00~9月5日17:00)には利用可能となるので、これらの日に災害伝言ダイヤルを利用する訓練を行うとよいでしょう。171が難しいとなると公衆電話という方法もあります。前もって自宅の近く、通勤ルートやよく立ち寄る場所などの公衆電話の位置を確認させておくといいでしょう。繋がりやすさだけでいうならLINEのようなSNSもありでしょうね。ただ、ガラケーでもLINEはできますが普段遣いしていない方には災害のときに使用するのは難しいかもしれません。
東日本大震災時に立派な安否確認システムをいれたけれども各社がいっせいに利用したためサーバに負荷がかかり遅延したケースや場合によってはサーバーがダウンしたこともあったようです。できれば2通りの手段で確認できることが望ましいと思われます。
安否確認は災害が起きたあといきなりやろうとしても社員は混乱してできません。震度1以上の地震が起きたらメール安否確認を実施するなどルールを決めて訓練をするのがいいでしょう。
ちなみに東日本大震災時の通信状況はおおむね以下のとおりでした。
①携帯電話
もっとも強い通信規制。まったくつながらない状況が続いた。
②固定電話
携帯電話と比較してトラフィックの増加は発生しなかったため比較的早い段階で通信規制を解除。東日本大震災発生時もわずかながらつながるケースがあった。
③メール
NTTドコモのみ規制を実施したが、すぐに規制を解除。トラフィックの増加で遅れることはあるが、いづれはつながった。
④インターネット
全般的にインターネット上のサービスは比較的よくつながっており、WebだけでなくTwitter、FacebookなどのSNSには大きな支障はみられなかった。
⑤PHS
PHSは複数の基地局が重なってカバーしているので災害時でもつながりやすい。通常時とほぼ同じ通信環境を維持。支店間の連絡に有用では。
⑥公衆電話
優先的につながるようなシステムになっており、繋がりやすい。駅などに設置。
⑥その他
被災地から被災地の外へは繋がりやすい。被災地同志は繋がりにくい。